研究内容

有機材料やグラフェン・カーボンナノチューブ等を総じて『パイ電子材料』と呼びます。あまり聞き慣れないかもしれませんが、これらの材料は主に炭素で構成されており、炭素原子間に『パイ結合』と呼ばれる特徴的な結合を有しているのが理由です。当研究室では、この『パイ電子材料』が持つユニークな特徴を活かした新しい研究を目指しています。具体的には、新奇機能性材料開発から超伝導・スピンを含めた物性研究、有機材料ならではのレーザーデバイスや熱電変換デバイスの作製、ナノ材料の特徴を活かしたFlexible Electronics実現を目指した研究、など基礎研究から応用研究まで様々な研究に挑戦しています。

新奇機能性材料の開発と基礎物性研究

新奇機能性材料の開発と基礎物性研究

新しい材料は、時として新しい世界を切り開く力を持ちます。パイ電子材料の世界でも、新しい材料が非常に興味深い光物性や超伝導、磁性を示すことがあります。当研究室では、物理的な視点から新しい材料・機能の開発に挑戦しています。

関連論文: Phys. Rev. Lett. 2010, Nat. Mater. 2004, Nat. Mater. 2003

 

原子層材料の物性研究と機能性素子開発

原子層材料の物性研究と機能性素子開発

グラフェンに代表される原子一層分の厚みを有する原子層材料は、従来の固体材料とは全く異なる性質を示します。当研究室では、原子層材料に特有な物性解明を行い、その特徴を活かした新たな機能を持つデバイス開発に挑戦しています。

関連論文: Adv. Mater. 2017, Phys. Rev. Lett. 2016, ACS Nano 2014

 

導電性高分子の伝導・熱電物性研究

導電性高分子の伝導・熱電物性研究

電気が流すプラスチック―導電性高分子―は新しいエレクトロニクス材料として注目されています。当研究室では、導電性高分子の高伝導性の起源の解明とデバイス応用(熱電変換デバイス等)を目指した研究に挑戦しています。

関連論文: Sci. Adv. 2020, Nat. Mater. 2016, Adv. Mater. 2014

 

電流励起レーザー発振を目指した研究

電流励起レーザー発振を目指した研究

有機材料は無限に近い豊富な種類と多彩な発光色が大きな魅力です。そのため、有機ELだけではなく有機レーザーの研究も活発に行われています。当研究室では、有機材料による電流励起レーザー発振に挑戦しています。

関連論文: Adv. Mater. 2017, Sci. Rep. 2015, Phys. Rev. Lett. 2008

 

有機物質の圧力下での新奇現象の探索

有機物質の圧力下での新奇現象の探索

柔軟な有機材料では、わずかの圧力で例えば絶縁体から金属へ大きく物性が変化したり、圧力下でのみ興味深い超伝導や磁性が現れることがあります。当研究室では、圧力を用いた新奇物性の探索に挑戦しています。

関連論文: Nat. Phys. 2015, Phys. Rev. B 2016, Nat. Commun 2016

 

Flexible Electronics/Printed Electronicsを目指した研究

Flexible Electronics/Printed Electronicsを目指した研究

パイ電子材料は、柔軟性や可溶性など無機材料には無い特徴を有しています。そのため、柔軟性・伸縮性を持つ素子や印刷法で作製した素子が提案されています。当研究室でも、新しい価値を持つデバイス作製に挑戦しています。

関連論文: Adv. Mater 2017, Nano Lett. 2012, Adv. Mater. 2010